平成28年度国際理解セミナー 講演

 

    ベトナムにおける

人材育成および現地企業の

    品質管理能力向上について 

 

ー日本人はりつき型経営から現地主導の経営へー

 

  講師 

  三谷産業株式会社

      代表取締役社長 饗庭 達也 氏

 

 

はじめに

 ご紹介をいただきました三谷産業の饗庭です。

 まず、最初に、当社について紹介したいと思います。

 当社は、昭和3年(1928年)に創業しました。その後、昭和24年(1949年)に三谷産業株式会社を設立し、現在に至っています。

 三谷産業グループ88年の間に、事業も多角化し、北陸地区をはじめ、首都圏、ベトナムを拠点に事業を展開しています

 

三谷産業グループベトナム事業の紹介

ベトナム国とは

 ベトナムは、正式には「ベトナム社会主義共和国」で、首都は、北部のハノイです。政治体制は、社会主義共和制で、ベトナム共産党単独政権の国です。

 人口は、9073万人(2014年)です。

 ベトナムは、社会主義の国ですが、中国と比べて、政教分離している国です。宗教は大乗仏教が80%をしめており、キリスト教もあります。

 識字率は、94.7%であり、教育水準が高い国です。

ベトナムの経済

 ベトナムの国民総生産(GDP)は、2015年では2171ドルであり、東南アジアでは、マカオ7万ドル、シンガポール5万2000ドルと比べると、まだまだ低いが年々、着実に上昇してきています。一方、都市部と農村部には格差があります。

現地日系企業の進出状況

 ベトナムを北部、南部、中部に区分して進出状況をみますと、北部(ハノイ、ハイズン、ハイフォンほか)は、製造業を中心に企業の集積が進んでおり、OA、通信機器、二輪、四輪、電気機器、医療機器、衛生機器などの分野で日系企業が進出しています。

 また、南部(ホーチミン、ドンナイ、ビンズンほか)は、経済の中心であり、製造業のほか、食品など国内販売を目的とした企業の進出が多く、また、縫製企業や商業関係の進出も多くなっています。

中部地区(ダナンなど)は、東西回廊により、ラオスに直結しており、今後、リゾート開発が有望ですが、まだ日系企業の進出は少ないようです。

ベトナムの魅力・課題

 ベトナムの魅力としては、次の4点があげられます。

 (1)豊富で安価な労働力

  ・人口の5割が30歳未満

  ・農業人口は3500~4000万人

   といわれている

 (2)安定した政治、安全な社会

 (3)国内市場の成長性

 (4)地理的な利便性、優位性

一方、ベトナムの抱える課題としては、次の3点があげられます。

 (1)雇用労働面―従業員の賃金上昇

  今年の1人当たりGDPの伸び率は6.7%であるが、賃金は例外なく10%上昇しています。

(2)投資環境面

  整備途上の法整備や不明朗な商習慣があるが、社会通念上必要なものと認められており、急激な変化を好まない、いわば、ジックリ型と言えそうです。

(3)生産面

  原材料・部品の現地調達の難しさがあります。

三谷産業のベトナム進出22年の歩み

 当社が1993年にベトナムに進出したのは、ミネラルウオーターの会社がスタートでしたが、それぞれステップを踏み、“ベトナム発・日本品質”を志向し、人材の育成に努めてきました。単なる技術移転ではなく、日本流の、いわゆる心技体の移転を心掛けてきました。

Aureoleグループの紹介

 Aureoleグループとは、オレオと呼び、フランス語で“栄光”という意味です。

 このAureoleグループの構成は、次の図のとおりですが、三谷産業株式会社と連携し、一体経営を行っています。

現在、ベトナム関連事業は、

   売上高  77.4億円

   従業員数 1689人

となっており、数年前から順調に伸びてきています。

 今後、三谷産業としては、ベトナム関連事業は、様々なリスクを考え、全体の10%程度にしていきたいと思っています

現地グループ会社の改善事例

ABCD(ハイズン省、ドンナイ省

樹脂成形品の製造、金型の設計製造—従業  員789人)

ADMS(ドンナイ省、樹脂成形品、複合ユニット製品の製造—従業員415人)

この2社では、車載用樹脂成形品を製造しているが「良品しか作らない製造工程」の構築をめざし、多機能チームによる生産準備活動(良品条件の確定)と量産トライをしました。

 また、ABCD社(ハイズン工場)では、2014年6月から改善活動を導入し、全員が集まって改善活動を行う体質への転換をめざしました。さらにABCD社(ドンナイ工場)のトレーニングセンターでは、女性を中心に活動をしておりますが、ベトナムの女性は、よく働き、勤勉であり、指導的な立場に達していると思っています。

現地化において抱える悩み、課題

 まずは、人材の定着があげられます。

現場のキーポジションである人材が途中で辞たり、また、現場では、班長や一人前の班長になる前に辞めるケースが10~20%あります。育成には時間とコストがかかります。

 これまで、日本から出張員が行って、いろいろ指導し、「現地化」をめざして、努力してきましたが、人材の定着という面では、まだまだ悩みや課題があります。

また、組織の持続性という面でも、これまでのような対処療法的な指導や教育だけでは現地企業やベトナム人管理職層自身の品質管理能力の向上については、むしろその効果を打ち消す作用が働いてしまうのではないかと思っています。

現地グループ会社における改善事例

 平成26年1月にベトナムのハノイ(本店)とホーチミン(支店)に人事労務、労働安全衛生管理、財務管理、マーケティング、生産管理のコンサルティングサービスを業務とする会社AXIS社(Aureole Expert Integrators INC 従業員12人)を設立し、現地グループ会社に対する品質改善等の指導(チームビルディング プログラムの導入)と合わせ、日本流のビジネスプロセスや生産方式をベトナム固有の商習慣やビジネスプロセスに融合させることを目的として、「リチーミング」(=問題解決やチーム再構築のためのプログラム)をはじめとして「心の好循環サイクル」を導入することにしました。

人材開発の今後の流れ

今後、さらにAXIS社による推進体制を強化(講師の養成やプログラム整備)し、実施対象を拡大したチームビルディングプログラムの推進を予定しています。

 <今後の実施対象予定>

① ベトナム当社子会社(7社)

 ② ベトナム国内協力会社

 ③ その他の日系企業、日本商工会会員企業

 ④ ベトナムローカル企業など

また、昨年11月に、ベトナムハノイで、高度な人材開発のための“ハード”と“ハート”というテーマで、「人材開発に関する日越産官学連携イベント」を開催しました。ベトナムの教育訓練省やベトナムの主要大学、現地日系企業など多くの方が参加しました。第2回は、2016年9月にホーチミン市で開催の予定です。

おわりに

 日本とベトナムは、習慣や文化の違いがあります。例えば、掃除の仕方ひとつとっても日本とは逆です。

 一方で、道徳教育は、日本との類似性がみられます。こういう点からみて、日本型のコミュニケーションの取り方も有効ではないかと思っています。

今後、AXIS社の取り組みを通じて、日本人はりつき型から現地主導の経営への転換をめざしていきたい。

 

           (文責 事務局)


 

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